恋色シンフォニー



今日は6回目。
あれから1ヶ月以上たち、6月に入った。
三神くんにごはんを奢る約束も、今日が最後。

定食屋さんで、いつものように、お肉とお魚を交換して。
おかみさんと旦那さんに見送られ。
『またお待ちしてます』と言われて、次はないと思うと少し胸が痛んで。

今は、私の車に三神くんをのせて、会社の駐車場へと戻っている。

少し。

少しだけ、
寂しいかな、
なんて、思ってしまっている。

ほら、結構、三神くんとのおしゃべり、楽しかったから。

1ヶ月以上、毎週一緒に食事をしていれば、習慣っぽくなっちゃってたし。

今日が終われば、また、ただの同僚で。
あまり話すこともなくなるんだろうな。

ああ。
会社の駐車場に着いちゃった。

何。これ。
何。この気持ち。

「それじゃ、ごちそうさまでした」

三神くんは平然と、車から降りようとする。

1回目以来、色っぽい雰囲気になることはなく。

……いや別にそれでいいんだけど!

そっか。
別に三神くんは何とも思ってないのか。
そうだよね。
そうだよね。
迷惑料だったんだもんね。

「お疲れ様」
「お疲れ様。気をつけて」

三神くんが車を降り、パタン、とドアが閉められた。

……あっけない。

これでいいんだ。
恋愛自粛期間だから、ちょうどいいじゃないの。
もう、社内恋愛はしないって決めたんだから。

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