恋色シンフォニー


二階の寝室に戻る。

8時か。

三神くんはまだ寝てる。
無防備な寝顔って、何でこんなに色っぽいんだろ。

三神くんの横にすべりこみ、間近で観察する。

きれいな顔だなあ。
肌がきめ細かい。
まつ毛、長い。うらやましい。

髪をなでる。細くて柔らかい。うらやましい。

そして、鎖骨のアザと、左耳の下のアザに、そっと手を伸ばし、撫でる。

それから、左手の指先を撫でる。
弦を押さえ続けて、硬くなった指先。

これが一番、うらやましい。
小さい頃から弾いてきた人の証。

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