恋色シンフォニー

ヴァイオリン歴は、正確には、4年と数ヶ月になる。
卒業後も、続けるつもりだった。
ところが、仕事は甘くない。
疲れて帰ってきたら、練習どころじゃない。
休みの日に久しぶりに弾くと、下手になってるから、練習したくなくなる。
さらに間があくと、ますます下手になる……。
悪循環は、数ヶ月。
気づくと、ヴァイオリンに触れていなかった。

だから、今もあのレベルを維持している三神くんがほんとにすごいと思う。


それにしても。

まさか、数年経って、ヴァイオリン弾きと付き合うことになるとはね。

憧れてやまなかったものが、今、目の前にある……。あの、大学の入学式の日の感動みたいだ。


三神くん。
私の夢と憧れを重ねて、
あなたを好きでも、いいですか?


そっと、額にキスをした。

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