さくら、ひらひら。
『お前、進路本当にこれで良いの?』

それはさっき担任に言われた言葉。
“本当に行きたい”学校は今からしっかりみっちり勉強を重ねてギリギリなライン。
狙えなくはない。
残り1年半の努力次第。


けれど、負けてしまうリスクを考えてしまう。
きっと、ダメだったときに、打ちのめされてしまうから。
弱い自分がそれを嫌がる。
確率の高い、志望動機もそれとなく言えるような、そんなところへと心が傾く。

それを見透かしたような、担任の言葉に、今さら私はなにも言えなかった。

「……小泉くんさぁ、梓のどこ好き?」

それは何気なく、口からこぼれた言葉だった。

< 15 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop