さくら、ひらひら。
本当は、小泉くんにも書いてもらいたいけれど、今はちょっと無理。
小泉くんをチラッと見ると、眠そうに眼をこすりながら鞄を掴んで帰るとしている様子が目に届く。
まだ、気付いていない様子の梓。

「梓!行っちゃうよ?」

梓がキュッと、何かを決心するような顔で見つめてくる。
頑張れ、そのエールをもって小さく、こくんと頷くと、梓が小泉くんのもとへと駆け寄った。


「あ、小泉くん!書いて?」

梓の声が聞こえて、本当に、私のこの想いとも卒業だな、と、どこかに安堵ともいえるような気持ちがわく。


寂しくて、でも、温かい。

< 32 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop