さくら、ひらひら。
海斗と過ごす時間は楽しくて、本当に男女の垣根を越えた友達になれたな、と思ってた。
自分の気持ちの変化に気づいたのは、それからまもなく。
誕生日の話題になったときだった。

「桜は春生まれ?」

私の名前から、そう思う人は少なくない。
けれど、実際はそうじゃなくて。

「残念。6月生まれ」

両親の馴れ初めに桜が関係していることから名前がついただけだった。
6月9日、誕生日。
その日を告げると、海斗の瞳が揺れたのが分かった。

「香澄先輩と同じ……」

“香澄先輩”その名前は何度か聞いたことがあった。
こう言うときの勘は、大抵当たる。
そして、ツキンと胸に痛みが走る。
そこで初めて自覚した。

どうしてまた、繰り返してしまうかなぁ……



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