さくら、ひらひら。
校舎を出ると、はらはらと雪が降り幻想的な世界を作っている。
けれどそこに感傷的になることなど今は到底出来ず、ただただ走る。
息の切れるまで、足の動かなくなるまで、逃げる。

逃げて、逃げて、走って、走って、逃げて。



そして漫画よろしく、見事にこけた。
くすくす、とこちらをちらりと見ながら交通人が通り行く。

恥ずかしさとか、悔しさとか。
悲しさとか辛さとか。
そんなものが瞳からにじみ出て、視界をぼやかす。
それでも涙なんかこぼしたくはなくて。
ぐっと奥歯をかみしめて、空を見上げた。

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