さくら、ひらひら。
相変わらず、通行人がくすくすと笑いながら通り過ぎていく。
ぺたりと地べたに張り付いて、足とお尻が冷たいのも構わず。
道路事情も、考えず。

ただ空を見た。


あぁ……どうしよう。
本当に動けなくなってしまったみたい。
動きたくない、動きたくない、動きたくない。
こんなにも胸をえぐる気持ち、もう嫌だ。

考えたってどうにもなるわけでもないけれど、動かなくちゃいけない事も、分かってはいるんだけれど。



はらりはらりと舞う雪が、地面を浸食して行く。
このまま雪に埋もれてしまえば。

そんなことさえ思う私は、どうしようもない。

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