さくら、ひらひら。
はらりはらり、雪が舞う。

凍りつきそうなこの寒さにもめげず、この道路の下の川は流れている。
桜並木がその身を震うように、風を受けている。


はらり、ひらり。

一枚の花弁が、私のもとへと降り立った。
そ、と手をやり花弁をつまみあげると、ふわり、温かな風が一筋そよぐ。

『こんにちは、お嬢さん』

どこからともなく聴こえた声。

『ほら、ここですよ。ここ』

声の主を探そうと、せわしなく顔を左右に振る。

『違いますよ、ほら』


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