さくら、ひらひら。
これだけの通行人がいる中で、どこからともなく確定的な固有名詞を発したわけでもないのに、“お嬢さん”が間違いなく私を指しているのだと、心のどこかで確信して、地べたから張り付いていたお尻を上げ、キョロキョロとあたりを見回す。
『ここですってば』
にょ、と目の前に逆さまを向いた顔が出てきたときの衝撃たるやない。
せっかく持ち上げたお尻を、また地べたに戻したのは言うまでもないだろう。
驚きのあまり、声すら発せずにただ口を開け、がくがくと指をさす。
その驚きを汲んでのことなのだろうか、これは失礼、と一言あって、くるりと彼は宙返りをした。
それでもなお私の驚きは消えるものではなかった。
なぜなら、彼は。
その体を宙に浮かせていたのだ。
『ここですってば』
にょ、と目の前に逆さまを向いた顔が出てきたときの衝撃たるやない。
せっかく持ち上げたお尻を、また地べたに戻したのは言うまでもないだろう。
驚きのあまり、声すら発せずにただ口を開け、がくがくと指をさす。
その驚きを汲んでのことなのだろうか、これは失礼、と一言あって、くるりと彼は宙返りをした。
それでもなお私の驚きは消えるものではなかった。
なぜなら、彼は。
その体を宙に浮かせていたのだ。