さくら、ひらひら。
『良い天気。ピクニック日和だよね、来てよかった』
『うん。梓が誘ってくれてよかった!にしても、小泉くん。相変わらずよく寝るよねぇ』
『本当。まぁ、いつもなんだかんだで忙しい人だから、仕方ないんだけどね』
『確かに』

まぁるい笑顔の彼女は、高校時代からの友人で。
卒業式の日に私が背中を押した友人でもある。
苦笑して、視線を落とした先に寝転んでいる男性はきっと、かつての私の想い人。

そして……梓の、彼氏。

それじゃあ、梓の正面に座っているセミロングの髪の女性は―――…

『桜』

呼ばれた名前に、セミロングの女性が視線を動かす。


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