さくら、ひらひら。
高く高く。
花弁が舞いあがる。
高く高く、昇って行く―――…



そして気付けば辺りは時間を取り戻し、通行人たちもくすくすと笑いながら私を通り過ぎていく。
私はすくっと立ち上がり、体を反転させると再び走り出した。


逃げることも立ち止まることも、してはだめだとは言えない。
そういうときだって実は必要で、大切なこと。
だけどね。

だけど。
“違うんだ”って、気付いたら。
人はそこから、立ち上がる力を持ってる。


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