さくら、ひらひら。
誰かに支えられて、引っ張ってもらって、ようやくなのかもしれない。
だけど確かに、立ち上がることはできるんだ。
自分の足でまた、歩き出すことができるはずなんだ。


――海斗、海斗。
私、ようやく気づいた。
こんなに時間をかけてしまったけれど、ようやく。
逃げることだけ上手くなって、一度も自分の気持ちをぶつけたことがなかった。
優しいあなたに甘えてた。

はっはっ、息を上げて走る私の熱が雪をふりほどいていく。


階段の踊り場、窓枠に並ぶ二つの影はやっぱりそれだけで絵画のように綺麗だけれど。

「海斗っ!!!」

叫んだ私をくるりと振り返る。
まぶしい笑顔が二つ。

「桜ちゃん!」

かわいらしい笑顔で香澄先輩が迎えてくれる。

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