恋の指導は業務のあとに


夜、いつも通りシャワーを浴びた後、バスルームの曇った鏡を拭いて自分のスタイルをしげしげと見る。

今まではそれほど意識したことがないけれど、私って貧乳な方だ。

ブラのサイズはギリギリCだけれど全体的に肉付きが少なくて、ウェストもくびれが少ない気がする。

いわゆる幼児体型。

だから、羽生さんは平気だったのかもしれない。

というか、彼女のスタイルが良過ぎて私には女を感じないのかも。


「胸の形はいいと思うんだけどな」


プルンと盛り上がった胸は、我ながらに綺麗な稜線を描いていると思う。


私の裸を見たくせに、羽生さんはいつもと変わらない。

意識しているのは私だけで、会社では相変わらずマイナス10度の気を放って、一緒に外回りをしても全然普通なのだ。

意識されてしまったら、それはそれで困るのだろうけど、少しは変化があってもいいと思う。

例えば、ふとした瞬間に戸惑いが見えたりしてもいいのに。

それが微塵も感じられないなんて、私には女としての魅力がないのかと落ち込んでしまう。


『子どもに手を出すほど飢えていない』


そう、私なんて子どもだもの・・・。

羽生さんはアラサーで大人の男だし、私はまだ新卒の22歳だし、妹の裸を見た感覚と同じで、そもそも興味がないのかもしれない。

そう思うとますますへこむ。

もっと大人っぽいスタイルになりたい。

そう、例えば琴美みたいな。


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