恋の指導は業務のあとに


この子は、絶対私より胸が大きいと思うのだ。


「ねえ琴美。胸って、揉めば大きくなるのかな?」


オムライス屋さんでの女子トーク中、私が真剣に訊ねると琴美はスプーンを持ったままポカンとして、ぷっと噴き出した。


「やだあ若葉ったら。何なの、突然」

「よくそう言うじゃない?だから実際にそうなのかなあって、思ったの。私はまだ経験がないし」

「うーん、どうなのかなあ。男を知ると体が女に変わるから、胸も多少は大きくなるのかもね」

「それで、琴美はどうだったの?大きくなった?」


身を乗り出して訊くと、琴美は、もう若葉ったら!と言いながらも、何かを思い出すように目を伏せた。


「今彼とエッチするようになってから、最近胸が大きくなったねってベッドの中で言われたわ。彼とは相性が良くてさ、毎回イッ・・・って、やだ、若葉ったら何てこと言わせんのよ!」


琴美は真っ赤になって、オムライスにスプーンを入れてぱくっと食べた。

それが喉に詰まったみたいで、ケホケホとむせてしまって、水を飲んでいる。


「大丈夫?」


なんだかすごく動揺してるみたいだ。

毎回イ?

イって、何だろう。

まさかその先はク?

まだまだ未知の、大人の寝室を想像してしまい、私まで顔が赤くなった。


やだ琴美ったら。

でも、私のせいだよね。


「変なこと訊いてゴメンね。でも、こんなの琴美にしか訊けないもの」


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