恋の指導は業務のあとに
朝から朝まで

TUJIMOTOの新商品の名前が決まった。

その名は『かえっこ、ころりん』。

語呂の良さと覚えやすさと商品の特徴を表していると、満場一致で決まったらしい。

なんと、これは私が考えた名前で・・・。


「カキネの案が採用になったぞ」


羽生さんにおめでとうと言われたときは、びっくりするやら嬉しいやらで、え、え、え?うそでしょ?としか言えなかった。

自分が考えたものが採用されてCMやポスターや店頭でみられるなんて、まるで想像ができない。

採用された人には寸志が出て、しかもCMの撮影現場に連れて行ってくれるという。

そんなこと、全然知らなかった。


「すごいじゃないっすか。よかったっすね!」


清水さんが満面の笑顔で祝福してくれた。

琴美は案を出していなかったらしく、少し悔しがっていた。

全く思い付かなかったそうで、次は応募するからそのときは協力してね!と約束させられた。

たまたま廊下でばったり会った牧田さんには、「やっぱりぃ、オコサマだから、ぴったりなものが考えられるのねぇ?これで、一気に有名人よねぇ。ま、せいぜい喜ぶとよろしいわ~」と言われた。

それはネチッとしているけれど口惜しさが混じったように聞こえた。

ツンッ!とそっぽを向いて立ち去る彼女は、名称案を書いたと自信ありげに笑って応募ポストに入れていたと琴美に聞いた。

イヤミが復活してきたということは、失恋の痛手から立ち直ったのだろうか。

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