婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
圭司はそのまま、マンションのベッドで眠ってしまった…。
「響さんには、まだ 無理させない方がいいのかもしれないね…。」
リビングのソファーでコーヒーを飲みながら、
拓哉さんがそう言った。
「そうだよね…。私も早く思い出して欲しくて色々と話しちゃったけど…逆効果だったな。」
話を聞きながら、圭司は必死で思い出そうとしてくれた。
でも 内容も衝撃的だったし、おば様が亡くなったことも話してしまったから…。
「でもさ 響さんって、何にも覚えてないの?
自分のこととか…。」
「それがね 圭司 10年前までの記憶なら全部あるの…。」
「えっ 10年前までの記憶はあるの?」
驚いた口調で拓哉さんが言った。
「うん だから 当時の恋人の芹香さんのことがまだ好きなんだよね…。」
「はあ!? なんだよ それ~ 酷いな 響さんも…。」
怒ったように拓哉さんがぶつぶつと呟いた。
「うん でも 圭司が悪い訳じゃないしね。圭司、本当は私といるのも嫌なんだろうけど、それでも、私 もう一度 圭司に好きになってもらいたくて…別居したいって言った圭司を無理言って引き止めたの…。だから 頑張らなくちゃって、つい ちょっと焦っちった…。」
「なっちゃん…。」
拓哉さんは私の顔を悲しそうに見つめた。
「きっと大丈夫だよ 響さんがなっちゃんを好きにならないハズがないから…。それに 記憶だってすぐ戻るかもしれないし。だから 元気出しなよ ねっ?」
必死に励ましてくれる拓哉さんに、私は涙をこらえながら笑顔で頷いた。