婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

「なつ そんなことは、少しも気にする必要なんてない… それに、なつに不妊治療を諦めさせようとしてるのは俺なんだから…」  

「ううん 私じゃなければ、圭司はこんな思いなんてしなくて済んだんだもん… 浩太さんだって聖也さんだって、パパになれてるのに」

こみ上げてくる思いを抑えきれず、涙がポロポロと落ちてきた。

「なつ 大丈夫だから…」

圭司がなだめるように、私の頭を優しく撫でた。

「それに 芹香さんを選んでたら、圭司はちゃんとパパになれてたし ごめ…んな…さい」

堰を切ったように溢れ出てくる涙を、私はどうすることもできなかった。

「なつ 落ち着いて…芹香は関係ないだろ?」

「だって… 芹香さん 赤ちゃんできたって…
メール…来てたから… だから 私 圭司に申し訳なくて…私は自分のせいだから諦めもつくけど…」

鼻を啜りながらモゴモゴと話す私を見て、圭司はふっと笑った。

「そっか なつは芹香と連絡取ってたもんな…
で 芹香が妊娠したから、俺に謝ってんの?」

圭司の言葉に、私は黙って頷いた。

「バカだな なつは… もう そんなことは悩まなくていいから、鼻でもかみな。」

そう言って圭司は、テッシュを私の鼻に当てた。

「いい 自分でできる…」

私は、圭司からテッシュを奪い取って、鼻をかんだ。
圭司はクスッと笑った後、急に真面目な顔を私に向けた。

「ん?」

「俺はさ なつさえいてくれたら、それで十分幸せだよ。なつにだって、子供がいなくても幸せだと感じてもらえるように頑張るから… 
だから、俺の我が儘だけど、不妊治療はこれで終わりにさせて…」

「うん 圭司ありがとう… もう 私 思い残すことないよ… ちゃんと吹っ切れる…」 

私はベッドから身を乗り出し、圭司の首に手を回して抱きついた。

圭司と二人で、楽しく生きていこう…。

そう思った瞬間、体の力が抜けて、なんだか心が軽くなった気がした。


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