婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

拓也さんが帰ったあと、私はベッドに眠る圭司の顔をしばらく見つめていた…。

圭司の寝顔って、ホントに綺麗だよね…。
昔 ゆずちゃんが圭司のことを、絵本の中の王子様みたいって言ってたっけ…。

私は圭司の頬にそっと手を伸ばした。

ああ なんか 久しぶりに触れた気がする。
起きてる時は、こんな事できないし…。

このまま目が覚めたら、圭司の記憶が戻っていればいいのにな…。

絵本の中だったら、キスで戻ったりするものなんだけど…。
さすがにそれはないか…。

でも してもいいかな…キス。
軽くなら 起きないよね?

私はゆっくりと、圭司に顔を近づけた。
形の良い柔らかい唇が、私の唇にそっと触れた。

すぐに離して圭司の顔を見たけれど、起きる気配は全くない。

もう一度、いいかな…?

再び、圭司の唇に触れる…。
この一瞬だけでも、幸せな気持ちに包まれていく。

これ以上は起きちゃうかな…。
そう思い唇を離した瞬間、圭司が私の後頭部に右手をまわし、唇を押しあてた。

えっ…?
圭司 起きちゃった…?

とろけるような甘いキスに、全身の力が抜けていった。

そして、圭司はゆっくりと唇を離すと、目を閉じたまま私をぎゅっと抱きしめた。

もしかして 私のことを思い出してくれたの?

でも そんな私の期待はすぐに裏切られた。

「芹香 愛してる…。」

そう呟くと、圭司は再び深い眠りについてしまった。












< 11 / 140 >

この作品をシェア

pagetop