婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
拓也さんが帰ったあと、私はベッドに眠る圭司の顔をしばらく見つめていた…。
圭司の寝顔って、ホントに綺麗だよね…。
昔 ゆずちゃんが圭司のことを、絵本の中の王子様みたいって言ってたっけ…。
私は圭司の頬にそっと手を伸ばした。
ああ なんか 久しぶりに触れた気がする。
起きてる時は、こんな事できないし…。
このまま目が覚めたら、圭司の記憶が戻っていればいいのにな…。
絵本の中だったら、キスで戻ったりするものなんだけど…。
さすがにそれはないか…。
でも してもいいかな…キス。
軽くなら 起きないよね?
私はゆっくりと、圭司に顔を近づけた。
形の良い柔らかい唇が、私の唇にそっと触れた。
すぐに離して圭司の顔を見たけれど、起きる気配は全くない。
もう一度、いいかな…?
再び、圭司の唇に触れる…。
この一瞬だけでも、幸せな気持ちに包まれていく。
これ以上は起きちゃうかな…。
そう思い唇を離した瞬間、圭司が私の後頭部に右手をまわし、唇を押しあてた。
えっ…?
圭司 起きちゃった…?
とろけるような甘いキスに、全身の力が抜けていった。
そして、圭司はゆっくりと唇を離すと、目を閉じたまま私をぎゅっと抱きしめた。
もしかして 私のことを思い出してくれたの?
でも そんな私の期待はすぐに裏切られた。
「芹香 愛してる…。」
そう呟くと、圭司は再び深い眠りについてしまった。