婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

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『子宝の湯』

私は貸切りの露天風呂の中で、そう書かれた立て札をぼんやりと眺めていた。

子宝か…

私のような体でも、効果あるのかな…。
不妊治療はやめてしまったけど、自然に妊娠する可能性だってゼロじゃないし…
いやいや 不妊治療してる時でさえ出来なかったのに、出来る訳がないよね…
でも…

「なつ? どうしたの?」

圭司が後ろから、私の顔を覗き込んだ。

「え? あー なんかね、子宝の湯なんて書いてあるから気になっちゃって ああ でも 大丈夫 別にもう…」

「そうだな なつにもご利益あるかもな。子供は天からの授かり物だって言うしな。」

圭司はそう言って、私を胸の中へと抱き寄せた。

『子供は天からの授かり物』

つい最近、お母様にも言われたっけ…
気安めでも、ちょっと救われる。

「そうだね…。ありがとう…」

こうやって、いつでも圭司は私を包み込んでくれる…

圭司がそばにいてくれるだけで、十分幸せなのに…
ついつい、欲張りになってしまった自分に反省した。

「うわ~ 凄いよ 圭司! 上見て!」

見上げた空には、満天の星が輝いていた。

「ホントだ。凄く綺麗だな…」

「うん こんな素敵な星空の下で、圭司と温泉に入れてすご~く幸せ… 連れて来てくれて、ありがとね 圭司。」

そう言って、私は圭司の胸にピタリと顔をくっつけた。

「もう なつは… そんな可愛いこと言ったらキスするよ…」

圭司が耳元で囁いた。

「いいよ… しても。」

だって私、ずっとキスしたかったんだもん…。
それに、こんな素敵なシチュエーションで、キスなんてすごくロマンティックだし…
きっと、一生忘れないよ…

私はそっと目を閉じて、圭司のキスを待った。

「ごめん やっぱ やめとく…」

圭司はそう言って、私を引き離した。

「え… 何で?」

きょとんとする私に圭司が言った。

「俺がキスだけで、止められると思う? 無理だろ? ここでキスなんてしたら、間違いなくおっぱじめちゃうよ」

そんな…
キスしたかったのに…

「そうだね 圭司はエロ魔神だもんね 我慢なんて出来るわけないもんね… それじゃ仕方ない」

ふて腐れた私の言葉に、圭司は苦笑いを浮かべた。

「エロ魔神って… もしかして、怒っちゃった?」

「怒る訳ないでしょ キスを拒まれたくらいで!」

「そっか 怒ったか…」

「だから、怒ってな…い ん」

圭司は私を引き寄せ、キスをした。

一瞬にして、世界が変わったかのように真っ白になった。

圭司は舌をスルリと入れて、私の舌に絡ませた。
何度も何度も、角度を変えながらて攻めてくる。

ハアハアと次第に私の息が乱れ始めた。

マズイ…
気持ち良すぎて、このままここでシてしまいたくなる…

「ほら なつがそんなエロい顔するから、止められなくなるんだよ なつも部屋まで我慢な…」

圭司はそう言って、腰砕けになった私をお姫様抱っこでかかえあげた。

ごめんなさい…
エロ魔神は私の方でした…。

心の中で謝りながら、圭司の首にしがみついた。






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