婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
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目が覚めると、見慣れない天井が現れた。
ああ そうだ
圭司と温泉に来てたんだった…。
いつものように、圭司は私を抱きしめて眠っているけれど、私たちは二人とも裸のままだ。
昨日は、一カ月振りに甘い夜を過ごした。
圭司は何度も私に気づかいながら、すごく大事に私を抱いてくれた。ホントに、涙が出るくらい幸せだった…。
もう少し、昨日の余韻に浸っていたかったけど、既に朝食の時間を過ぎていることに気がついた。
7時から、お食事処って言われてたよね。
その間に、お布団も下げにくるって言ってたっけ…
うわっ マズいよね!?
お布団の周りには、浴衣と下着が脱ぎ散らかされているし、何より私達は裸のままだ!!
とりあえず、私はゴソゴソと布団の中で下着を着けながら、すぐ横で寝息を立てている圭司に声をかけた。
「ねえねえ 圭司も起きて! もう 朝食の時間だから!」
「ん… なつ?」
圭司は、眠たそうな顔で少しだけ目を開けた。
「あのね もう 朝食の時間過ぎてるから、早く起きないと!」
「んー 俺は、いいや… なつだけ行っといで…」
掠れた声でそう言うと、圭司は再び眠ってしまった。
こんなに寝起きの悪い圭司は珍しい…。
この二週間、死ぬほど働いたと言っていたから、よっぽど疲れているのだろう…。
もう少し、寝かせてあげた方がいいのかな…
でも、ひとりだけ朝食に行くのもな~
それに、きっともうすぐ、布団の人だってカギを開けて入ってきてしまう。
「ねえ 圭司! やっぱり起きて!」
私は、圭司の顔を覗き込みながら声をかけた。
けれど、圭司は目を開けるどころか、私をグイッと抱き寄せて、胸の中に閉じ込めてしまった。
「ちょっと 圭司! 何してんの 私だって早く浴衣を着なきゃいけないんだから!」
「いいよ… 俺があっためてあげるから…」
甘ったるい声でそんな言葉を囁いているけれど、圭司は完全に寝ぼけている。
「お願い 圭司 ちょっと離して! 旅館の人来ちゃうから!」
私の大声で、圭司はハッと目を覚ましたけれど…
『ピンポーン』
時既に遅し…
玄関のチャイムが鳴り響いた。