婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

「えっ? 良いんですか~!? あのっ 確か瀬崎さんの旦那様の会社って、超有名スポーツブランドのレイビスでしたよね! 本当に良いんですか~?」

「え!! レイビス!?」

「キャー レイビス!?」

恵梨香ちゃんの言葉を聞いたお友達達が、揃って歓喜の声を上げた。

「うん うちの会社でよければね。ほら ちょうど五年目の後輩達が、男ばっかで同期会してるみたいだから…」

圭司はそう言って、飲み会の様子がアップされている携帯画面を恵梨香ちゃん達に見せた。

「うわ~ 皆さん、格好いい!」

「本当だ~ イケメン揃い~」

「キャー ホントにレベル高い!!」

恵梨香ちゃん達は興奮状態だ。

「じゃあ 声かけてみるから待ってて…」

そう言って、圭司は後輩に電話をかけた。

『あ 俺だけど… 今から女の子達連れてそっち行くから、おまえら合コンしろよ…』

突然変わった圭司の低い声に、恵梨香ちゃん達の目が一瞬にして大きく開いた。

あー そうだよね…
さっきまでの圭司は、王子様キャラだったもんね…

もともとはこっちが地だから、男の後輩相手だとすぐ戻っちゃうんだよね…。
そんな恵梨香ちゃん達の反応などお構いなしに、圭司は後輩とのやり取りを続けた。

『ふーん で、彼女いない奴ってどのくらいいんの? は? 全員!? 嘘くせーな… まあ いいや いい加減なことしたら、後でしめるってあいつらにも言っとけよ… ああ 今から行くから…』

話を終えた圭司は、再び恵梨香ちゃん達に王子スマイルを向けた。

「お待たせ 話、ついたから、行こっか? 男ばっかでお洒落なお店じゃないけど、ごめんね…」

なんて言いながら、圭司は車へと歩き出した。

「あっ あの… 瀬崎さんの旦那様って、もしかして、ヤンチャ系でした?」

恵梨香ちゃんが私の耳元で聞いてきた。

「あ… うん バレちゃったね…」

そうです…
まさしく、ヤンキーでした。

そう言った途端、恵梨香ちゃんの目がみるみるうちに、ときめいていった。

「うわ~ もう かなりのギャプ萌えですぅ あんな甘い顔してヤンチャとか反則ですね いいな~ 瀬崎さん こんなに格好いい旦那様で… 羨ましいですよ~」

「そ そうかな… ありがとう でも、私とは釣り合わないよね…」

なんて、つい自信のなさが出てしまう…

「なに言ってるんですかぁ めちゃめちゃお似合いでじゃないですか~ それに…」

「え?」

「瀬崎さんは、私達の憧れの先輩ですから…」

恵梨香ちゃんが私の耳元でそう呟いた。

お世辞だとは思いつつ、恵梨香ちゃんの言葉に嬉しくて顔が熱くなっていく。
憧れだなんて…
初めて言われちゃった…。

「ありがとう 嬉し… あれ?」

顔を上げると、恵梨香ちゃん達はすでに車の中だった。
ポツンと取り残されていた私…。

「ほら なつ にやけてないで、早く車乗って…」

ポカンとした私の手を引いて、圭司が助手席のドアを開けた。

結局、私はどうしたってこんなキャラなのだ…
まあ いいや…
憧れてもらえるように、少しずつ頑張ろう…。

そんな小さな決意を胸にした私と、彼氏争奪戦に向けて闘志を燃やす恵梨香ちゃん達を乗せて、車は合コン会場へと向かった。

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