婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

「あー あれは、別に浮気とかじゃないよ…。事情は言えないけど、話をちょっと聞いてただけ… 疾しいことなんて何にもないんだけど…」

「じゃあ 何の話だったんですか? アシスタントの美沙にも言えないような事って…」

「ゆず! いい加減にしろよ…」

再び、聖也さんがゆずちゃんを叱りつけた。

「だって、はっきりさせないとなつさんが…」

「ゆずちゃん ありがとう。でもね 圭司は浮気なんてしないから大丈夫。そんな人じゃないから… ねっ?」

「なつさん…」

ゆずちゃんは、ニコリと笑った私を見て少し考え込んだ後、圭司にパッと頭を下げた。

「瀬崎さん、スミマセンでした! 瀬崎さんがなつさんのこと裏切る訳がないですもんね 今までだって、全部ちゃんと誘いは断ってましたもんね 私が間違ってました!」

「いや 別にいいんだけど… なんか 杉本、随分俺のこと詳しそうだね… おまえか? 今まで、なつに余計な情報流してたのは…」

圭司が目を細めながら、ジロリとゆずちゃんを睨んだ。

「えっ あ あの はい… スミマセンでした~」

慌てて謝るゆずちゃんを見て、圭司がニヤリと悪戯な笑みを浮かべた。

「まあ いいや 杉本が産休から復帰したら、こき使ってやるから… ちゃんと覚悟しとけよ?」

「ひゃ~ ごめんなさーい」

「もう 圭司! ゆずちゃんはママなんだから、こき使っちゃダメでしょー」

「ハハ 冗談だよ…」

「なんだ 冗談ですか~ 良かった~ じゃあ 連のアルバムでも見て気分変えましょうね 可愛くてビックリしますよ~ 瀬崎さん!」

「調子いいな おまえは…」

ゆずちゃんはてへっと舌を出しながら、テーブルの上にアルバムを置いた。

暫くの間、私達が連くんの写真で盛り上がっていると…

『ウー ギャー ウギャー』

盛大な泣き声を上げながら、小さな怪獣に変身した連くんが目を覚ました。

「あっ そろそろ、おっぱいの時間かな オムツも取り替えないと… あっ たっぷりウンチしてる! ちょっと失礼しますね…」

ゆずちゃんは連くんを抱きかかえ、隣の和室の隅に連くんを寝かせた。

すぐに、聖也さんが新しいオムツとお尻ふきを持って登場し、連くんの足を持ち上げた。ゆずちゃんは、その間に手際よくお尻を拭いて、素早くオムツを変えていく。

あっという間にオムツ交換が終わり、聖也さんが汚れたオムツを持って部屋から出て行った。

「すげーな…」

「うん すごい…」

ゆずちゃん夫妻の見事な連携プレイに、私達は顔を見合わせながらそう呟いた。

「あの スミマセン そろそろ母乳の時間みたいで… 少しの間、失礼していいですか?」

「あっ じゃあ 私達、そろそろ帰るね。今日はありがとうね… ゆずちゃん。」

私達は沢山の刺激を受けて、ゆずちゃんのマンションから帰って来た。


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