婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
新たな生活
目が覚めると、私は圭司の胸の中にいた。
マズい ケガしてしてるのに!
一瞬 ドキッとしたけれど、幸い圭司の左手は無事だった。
胸もとから仄かに香る圭司の匂い…。
昔から私の大好きな匂い…
私は圭司の胸に顔をつけて、くんくんと嗅いでみた。
こんなことして なんだか変態みたいだけど。
でも 本当に落ち着くなあ
このひだまりのような暖かい胸の中は…。
愛しい人の寝顔を見つめながら、私はしばらく幸せな気分に浸っていた。
それにしても…
圭司は、なぜ、私のことを抱きしめながら眠っているのだろうか?
寝ぼけて、私が転がっちゃったのかな…?
いや それにしては、しっかりと私を抱きしめてるし…。
寝ている間に記憶が戻った!?
…なんてことは、なさそうだしね…。
昨日だって、期待して痛い目にあったばかりだもん… って そっか…
きっと また 圭司は寝ぼけて私を芹香さんだと勘違いしたんだ…。
そう思ったら、心が一気に沈んでいった。
本当は10年も前のことなのに、圭司が芹香さんを想う気持は、どうしてこうも強いのだろう…
もう一度、振り向かせるなんて言ったけど、そんなこと本当にできるのかな…。
圭司の記憶が戻らない限り、この先 私を愛してくれることなんてないのかもしれない…。
私は痛たまれなくなって、圭司の腕からそっとすり抜けベッドを出た。