婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

「おい なつ! どうした その浮かない顔は?」

その声にハッとして我にかえると、松井くんが社食のカレーライスを持ちながら、私の顔を覗き込むように立っていた。

「あっ 松井くん 遅かったね…。はい どうぞ…」

隣の椅子を引いてそう答えると、松井くんは心配そうに私の顔を見た。

「昨日、旦那 退院したんだろ? 早く私を思い出してもらうんだとか言って、張り切ってたのにさ 一体どうしたんだよ…。」

「うーん まあね 色々あるんだよ…。」

実は、松井くんには芹香さんのことまでは話していなかった。
ただ 記憶喪失になったということしか…。

「色々って何だよ おまえ もっと俺に相談しろよ…。」

「いい…。」

「何でだよ!」

「だって 松井くんに相談すると、ろくなことにならないもん…。もう 懲りてるし…。」

あっ 今のはちょっと 言い過ぎたかな?
そう思って、松井くんの方を見ると、なにやら
意味ありげにポケットから携帯を出してきた。

「なに? 携帯?」

「いやな おまえに黙ってたけどな…俺さ 大阪に彼女いるんだよ…。ほら!」

そう言って、松井くんは彼女とのツーショット写真を自慢げに見せてきた。

映っていたのは、笑顔の可愛い、ふわっとした感じの女の子だった。
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