婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「そんなの 昔からだろ? なつは旦那に相当甘やかされてたじゃん 寧ろ 元通りだろ…」
「そうだけど…でも 今までとは訳が違うよ だって 圭司は、まだ 私のことなんて好きになってないもん…。今の感じでいくと、娘っていうのは大げさにしても妹とか…そういう家族的な対象にしか見られない気がする…。」
「いいじゃん この際 妹でも…。そんなに
変わんないだろ?」
なんだろう このいい加減なアドバイスは…。
「じゃあさ 松井くんは自分の妹にキスできる? 百合ちゃんって言ったっけ?」
「出来るわけないだろ 気持ち悪い…。」
「ほら~ 私は、ちゃんとキスして欲しいもん 恋人のように…」
じわじわと涙がこみ上げてきた。
だって 昨日の情熱的なキスも、抱きしめられたこの温もりも、私ではなく芹香さんに与えられたものだから…。
ちゃんと、ひとりの女として愛されたいよ…。
「まあさ あれだよ 旦那もさ、そのうちに ひょこっと思い出すって…。だから そんなに思い詰めんなよ…。なあ?」
「うん…。そうだね… ありがとう 相談に乗ってくれて。じゃあ お先に…。」
「おい なつ…。」
なんだか これ以上、この話をしていたら泣き出してしまいそうで…私は逃げ出すように席を立った。
心配そうに見つめる松井くんに、私は必死に目頭の涙を引っ込めて、大丈夫と笑って見せた。