婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
記憶
翌日は土曜日だったので、朝からゆずちゃんが一緒についててくれた。
そして午後になると、事故の知らせを聞いた浩太さんと美優も駆けつけてくれた。
「圭司 浩太さんと美優も来てくれたよ…。」
私は、眠ったままの圭司に声をかけた。
浩太さんも美優も、包帯の巻かれた圭司の痛々しい姿を見て、黙ったまま立ち尽くしていた。
「手と足の骨折の方は、軽く済んだみたいなんですけどね… 意識の方が戻らなくて…」
涙ぐみながら、私がそう説明すると、浩太さんが突然、圭司の方に身を乗り出した。
「ん…? 今 目がピクッとなったぞ! おい圭司! 分かるか? 目を覚めせ!」
浩太さんの大きな声に反応したのか、圭司の指先がピクリと動いた。
「圭司! 分かる? なつだよ!」
私も圭司の手を握りながら、必死で声をかけた。
すると、圭司の目がゆっくりと開き始めた。
「圭司!!」
「圭司さん!」
みんなが、一斉に声を上げた。
圭司は、しばらく宙を仰ぐように見つめた後、
私達の顔を順番に見回した。
「あっ 私 先生呼んできますね!」
ゆずちゃんが、そう言って病室を出て行った。
圭司は不思議そうに首を捻りながら、浩太さんに声をかけた。
「浩太 俺って、何でここにいるんだ…?」
「圭司 おまえ バイクに跳ねられたんだよ… 昨日からずっと意識も失ってて、なっちゃんにも凄く心配かけたんだぞ!」
「なっちゃん?」
キョトンとする圭司に、浩太さんが呆れたように言った。
「なに惚けてんだよ ほら、ここにいるだろ? おまえの大事な奥さん!」
そう言って浩太さんは、私の両肩を掴んで圭司に私を見せた。
「圭司? なつだよ…。分かる…よね?」
無言のままの圭司に、急に不安が押し寄せた。