婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「ねえ ゆずちゃん 井川さんのことは圭司には内緒にしてくれるかな? バレエ教室のことも、圭司に連絡取りたがっていたことも…。」
「はい いいですよ 瀬崎さん、格好いいから結婚してても、狙ってくる人多いですもんね…
用心するに越したことないですからね…。」
ゆずちゃんは笑顔でそう言ってくれたけど、私の胸の中は後ろめたさで一杯だった。
でも こうするしかないよね…。
今 圭司を芹香さんに会わせる訳にはいかないんだから…。
ー・ー・ー
夜もすっかり更けて、ゆずちゃん夫婦はタクシーで帰って行った…。
「じゃあ 俺も、そろそろ帰るわ…。店にも顔出さないといけないし なつさん 鍋ご馳走さま…。」
「いえいえ よかったら また いつでも遊びにきてね。」
「ほんと? 嬉しいな。響も、今度会うときまでには、俺のこと思い出しとけよ!」
「そうだな… じゃあ 気をつけて…。」
だいぶ 圭司と夏樹さんは打ち解けた様で…
圭司の爽やかな笑顔も封印されていた。
玄関で見送ってリビングに戻ると、テーブルの上に一万円札が置かれていた。
「ねえ 圭司!これ 夏樹さんだよね!?」
「ん? あー それ さっき置いてたよ…」
「やだ! 返して来なきゃ! 私 ちょっと行ってくるね!!」
「あっ なつ!! 待った! それ…」
私は圭司の言葉も聞かず、慌てて家を出て夏樹さんを追いかけた。