婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
受付で問診表に記入した後、待合室のソファーへとすわった。
周りには、たくさんの妊婦さん達が、大きなお腹に手を当てている。
私も赤ちゃんが欲しい…。
圭司にだって、芹香さんだけじゃなく、子どもまで諦らめてくれだなんて…言えないよ。
「瀬崎なつさん 診察室にお入り下さい。」
名前を呼ばれ、診察室の中へと入った。
「今日はどうされました?」
年配の女医さんが、いすに腰掛けた私を見て優しく言った。
「えっと ずっと 子どもができないので、調べてもらおうと思いまして…。」
「何年くらいですか?」
「3年くらいなんですけど…。」
「うーん そうですね 筋腫とか妊娠しにくい体質とか、色々原因はありますが…旦那さんの方の検査はされましたか?」
「いえ まだです。 取りあえず、私の方を調べて下さい…。」
「分かりました…。では 今日は内診と超音波と血液検査をしますね…。」
私は一通りの検査を終えて、再び 待合室のソファーへとすわった。
ふーと息をついて、携帯を見ると圭司からline
が入っていた。
『遅いけど大丈夫? 何かあった?』
窓の外は、すっかり日が落ちて真っ暗になっていた。
圭司には検査に来ていることは知られたくない。どう返そうかと返事に悩む…。
『ごめんね 昔の友達にバッタリ会って、お茶してます。』
ごめんなさい…
心の中で謝りながら送信ボタンを押した。