婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
そういえば…。
ふと バックにしまい込んでいた圭司の携帯を手に取った…。
まだ 一度も中を見ていないけれど、どうしても気になってしまう…。
昨日 芹香さんは圭司が事故で記憶喪失であることをゆずちゃんから聞いている…。
10年くらいの記憶がないということは、今の圭司は私でなく芹香さんを覚えてるのだと気づいたはずだ。
携帯…見てもいいかな…。
なんだか 圭司には後ろめたいことばかり…。
でも…。
私は携帯のロックを外して、メールの着信履歴を開いた。
来てる…。
新しいアドレスからきたメールのタイトル欄に芹香ですと入ったメールが一通届いていた。
『圭ちゃん 久しぶり…芹香です。事故で記憶喪失になったと聞きました。ケガの方は大丈夫ですか? 私の事は分かるかな? 少し前にロシアのバレエ団を引退して、日本でバレエ教室を始める為に戻ってきました。色々 話たいことがあるので、連絡下さい。待ってます。』
そして 芹香さんの住所と電話番号まで載せてあった。
はー
これ見たら、きっと 圭司は連絡してしまう。
この感じだと、まだ 芹香さんは圭司に未練がありそうな感じだし…。
どうしよう これ…。
このまま 黙って何もしなければ、芹香さんは諦めてくれるかな…。
ため息をつきながら、携帯をバックにしまうと、ちょうど診察室から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
私は、覚悟を決めてドアを開けた。