婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
病院からの帰り道、昼間来た公園のブランコに揺られながら、私はひとり空を見上げていた。
『瀬崎さんは、妊娠しにくい体質ですね。いわゆる不妊症です。詳しい検査結果が出ないとはっきりとは解りませんが、うまく排卵ができない多嚢胞性卵巣症候群かもしれません…。』
先生はこう付け加えた。
でも 治療していけば、妊娠の可能性もゼロではないし、何もしなくても妊娠するケースだってあるので希望は捨てないで下さいと。
でも 圭司はそんな私を受け入れてくれるだろうか…。
私のことを愛してくれているならまだしも…。
今の状況では、とても 圭司に打ち明けられそうもない…。
はあーとため息を漏らしながら、私は重い足取りでマンションへと向かった。
「なつ!!」
マンションの前で、圭司が待っていた。
「何時だと思ってるんだよ! 携帯もでないし心配するだろ。」
えっ
慌てて携帯を出すと、圭司から何度も着信が入っていた。そして 時刻は夜の8時を回っていた…。
「ごめんなさい バイブにしてたから気がつかなかった あ ごめん 圭司 ご飯待ってたよね…でも 買物もまだなんだ…。」
「別にご飯はいいけど、遅くなるならなるでちゃんと連絡しないとだめだろ? 今まで どこにいたの?」
「えっ ああ 駅前のカフェ だよ…。」
思わず、私は圭司から目を逸らしてしまった。
「誰と?」
「えっ 誰って… 圭司に言っても分かんないよ きっと…」
「あっ そっ…。」
一気に圭司の顔つきが不機嫌になった。
「ごめん そういうつもりじゃなくて…。あ
私 なんか買って来るね!」
「もう いいよ 家でピザでも取ればいいから
」
「怒ってるよね…?」
「別にもういいよ なつに何も無かったんなら…。ほら いこっ。」
たぶん さっきの言葉、嫌だったよね…。
私も、結局 こうやって圭司を傷つけているのかもしれない…。
「圭司 ホントにごめんなさい…。」
圭司はそれ以上、何も言わなかった…。