婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
麗子様と入れ替わるように、新郎の裕二様が姿を現した。
「あれ まだ 麗子さん 来てないですか?」
何も事情を知らない裕二様は、麗子様の姿を探すようにキョロキョロしていた。
「あの 実は、たった今 麗子様が式をキャンセルして帰られました! まだ 麗子様 その辺りにいらっしゃると思います 追いかけて下さい!」
「キャンセル…。」
裕二様はそう呟いたまま、黙って立ち尽くしていた。
「あ あの 裕二様? 追いかけなくていいんですか? 今なら間に合いますよ!」
私の言葉に、裕二様は首を横に振った。
「僕には追いかける資格なんてありません…
引き止めた所で、結局 僕は彼女を愛してあげられないんですから。責任感だけでは彼女を幸せになんて、できそうもありません…。酷い男だと思われるでしょうが、今 僕にできるのは、彼女の決断を受け入れてあげることぐらいなんです…。」
「そう ですか…。」
きっと これが正しい選択なのだ…。
愛のない結婚が生む悲劇を、麗子様も裕二様もちゃんと分かっているのだ。
「ご迷惑おかけしました…。」
そう言って去っていく裕二様の後ろ姿を、私はただ黙って見つめていた。