婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

圭司に手を引かれながら、松井くんの部屋を出た。

マンションの前には、圭司か乗ってきた車が止められていたけれど…

まるで、強盗が乗り捨てていったかのような乱暴な止め方に、思わず圭司の顔を見た。

「仕方ないだろ 頭に血が上ってたんだから。
夏樹が言うとおり、俺って相当、嫉妬深い男だよな…。危うく、あいつを病院送りにするところだったよ…。」

圭司がはーとため息をついた。

「ごめんね 圭司…。」

そう言って見上げた私を、圭司はその胸に抱きしめた。

「なつ 愛してる お終いにしようなんて言ったけど、やっぱり 俺はなつを手放せない…。
今の俺だって、なつを想う気持ちは誰にも負けないつもりだよ。だから もう一度 俺とやり直して欲しい…。」

圭司の言葉に、私の胸は熱くなる。

「あのね 圭司… 私が今のままの圭司じゃ嫌だって言ったのは、圭司に愛されてないと思ってたからだよ。芹香さんのことが好きなのに無理して私と夫婦でいようとしてるんだって思ってたから… だから 今の圭司とは夫婦でいられないって答えたの。でも 本当は、記憶なんて戻らなくたって、圭司のこと大好きだし、別れたくなんてなかったんだよ…。」

ずっと言えなかった想いを圭司にぶつけた。

「じゃあ 俺達 やり直せるよな…?」

圭司は真剣な眼差しで私を見た。

でも… 
私は俯きながら、ブンブンと首を振った。

「ごめんね 圭司 やっぱり 私じゃ 圭司のこと幸せにしてあげられない。だって 私には圭司の赤ちゃん 産めそうもないから…。」

震える声でそう言うと、圭司は私を車の助手席へと乗せた。


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