婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

圭司の言葉に、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「圭司… 私 やっぱり 赤ちゃん 諦めたくない! 圭司がこんな私でも受け入れてくれるなら…治療受けて、いつか 圭司との赤ちゃんをこの腕に抱いてみたい。いい…かな…」

「いいに決まってるだろ? 一緒に頑張ろうなそれから もう 俺から離れるなんて言うのなしだからな…。」

圭司は私の髪をクシャクシャさせながら、優しく笑ってそう言った。

「ありがとう…。」

そう微笑んだ私の頬に、圭司がそっと手をかけ
た。

「なつ キスしても…いい?」

その甘くかすれた声に、私の心臓はドクンと音をたてた。

「うん…。」

頷いて目を閉じた私に、圭司がそっと唇を重ねた。

軽くチュッと触れたあと、圭司はすぐに私から離れた。

えっと思いながら目を開けると、圭司がぽつりと呟いた。

「ごめん ちょっと緊張して…」

「えっ…?」

そんなキャラじゃ…と 驚いていると、圭司が拗ねたように言った。

「仕方ないだろ 抱こうとすれば泣かれて…
風呂一緒に入ろうとすれば…俺になんて裸見せたくないって拒絶されたんだから…あれ 結構傷ついたんだぞ…。」

圭司が目を細めて私を見た。

「あっ お風呂は…圭司が私の裸なんて全然興味なさそうにしてたから…。私だって女として傷ついたもん…。」

「何それ そんな理由だったの? 寧ろ 興味しかないんだけど…。じゃあさ すごく興味があるって言ったら、今日は一緒に入ってくれるの?」

「えっ! ムリ 興味なんかもたれたら、余計ムリだから!」

「なんでだよ 話が違うだろ?」

「ダメダメ 私 お腹の肉ぷよぷよだから…見せられないよ!」

「ふーん それ聞いたら、尚更 興味が沸いてきちゃった。じゃあ 早く 帰んないとな…」

圭司は悪戯っぽく笑いなから、ハンドルを握り車を発進させた。

「いじわる! そういうとこは全然変わってないんだから!」

そんな言い合いをしながら、私達の車は深夜の住宅街を抜けて、二人のマンションへと走って行った。




 




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