婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
なつへの想い~圭司side~
「なつ 着いたよ…。」
俺は、助手席で眠るなつに声をかけた。
「んー 」
ぐっすりと寝入ってしまったなつは、起きる気配が全くない…。
俺はなつを背負って、マンションの部屋へと向かった。
ベッドの上になつをおろし、その無防備な寝顔にそっとキスをした。
『圭司の心には、本当にもう 芹香さんはいないの? 無理してるとかしゃなくて…?』
車の中で、なつは何度もそう聞いてきた。
確かに、ほんの少し前まで、芹香を好きだったはずの俺が、急になつを愛してるなんて言っているのだから、素直に信じられないのも無理はない。
『芹香のことは、もう 何とも思ってないよ
確かに、初めは、なつと向き合う為に無理して忘れようとしてたけど…。なつと暮らし始めてから、俺はどんどんなつに惹かれていって、今はもう、なつが愛しくてたまらない…。 もうなつなしでは生きていけないくらい、俺はなつを愛してるよ…。』
そう言うと、なつはようやく安心したのか、そのままスーッと眠ってしまった。
なつにはもっと早く、きちんとこの気持ちを伝えるべきだった…。
そうすれば、なつに辛い思いをさせずに済んだのにと今更ながら後悔する。
なつの涙を見たあの日から、俺の心にはなつしかいなかったけれど…
なつに愛してると言えなかったのは、なつが昔の俺しか求めていないと思ったから…。
なつが愛してるのは、なつを命がけで愛した昔の俺であり、なつを忘れてしまった記憶喪失の俺ではないのだと…。
なつが俺に愛されてないと苦しんでいたように
俺も、また そんな思いに捕らわれ、身動きがとれなくなっていた…。