婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
俺は、とにかく なつとの記憶を取り戻そうと必死だった。
でも 思い出そうとする度に、酷い頭痛が俺を襲ってきた。
『もう 昔の記憶は諦めた方が良さそうですね。過去の記憶に瀬崎さんの脳が拒絶反応を起こしている可能性もあります。そうなると、無理して思い出そうとするのは、とても危険ですから…。』
医者からもそう言われ、どんどん 俺は追い詰められていった…。
『なつは今のままの俺じゃ嫌なんだよな?』
その言葉に、泣きそうな表情を浮かべるなつ。
早く記憶を取り戻さなければ、そのうち なつは俺の元から離れていくかもしれない…次第に俺はそんな恐怖心を抱くようになっていった。
なつは俺を避けている様に思えたし、何より俺を夫とは認めてくれていなかったから…。
そうなると 今度は、なつのそばにいるひとりの男の存在が気になって仕方がなかった。
俺は、アルバムに挟まっている一枚の写真を取り出し、深いため息をついた…。
なつを俺から奪おうとした同期の男というのはきっと こいつのことだろう…。
俺は夏樹の言葉を思い出し、思わず電話をかけていた…。
『あー なつさんの同期のこと? そんなに気になってるんだ~ ホント その嫉妬深さは変わらないよな~。』
電話の向こうで夏樹か茶化すように笑った。
俺は内心ムッとしながらも、夏樹と会う約束をした。
『そんじゃ 今から おまえんとこ行くわ どうせ 店に行く通り道だから…。』
夏樹はそう言って、電話を切った。
しかし しばらくして、やってきた夏樹の隣には、目をウルウルさせた若い女が立っていた。