婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
『なに 彼女…?』
きっと 同伴の客か何かだろうと思っていた俺に、夏樹はニヤッと笑ってこう答えた。
『いや おまえの不倫相手らしいよ。』
『は?』
またか…
これで10人目…
俺が記憶喪失なのをいいことに、次から次へと不倫相手だと名乗る女が押しかけてきていた。
『私 秘書課の桜井美鈴です。瀬崎さんは私のこと覚えてないと思いますけど、私達 奥さんに内緒で付き合っていたんです…。記憶なくしたからって別れるなんて言わないですよね?』
そう言って、その女は上目づかいで俺を見つめてきた。
俺はいつものように、うんざりした顔で女に言った。
『君さ 俺とそういう関係じゃないよね? 俺
もう 記憶戻ってるんだけど… 迷惑だからこういうのやめてくれる?』
そう言うと、その女は、すみませんでしたと頭を下げて去っていった。
『へー 慣れたもんだな さすが響…』
『おまえな 面白がってるだろ 何であんなの連れてきたんだよ!』
『いや たまたまさ あの子とエレベーターで一緒になったから、名刺渡して営業してたんだよ。そしたらさ~ おまえの不倫相手だって言うもんだからさ~』
いつまでも笑いの止まらない夏樹を俺は思い切り睨みながら、リビングへと通した。