婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
◇◇◇
ようやく 腕のギブスが取れた日、浩太が家に
遊びに来た。
『おいおい 圭司 こんなにご馳走作ってくれたのはありがたいけど、俺 こんなに食えないぜ~』
浩太が、テーブルに並んだ料理を見ながらそう言った。
『あー いいんだよ もしかしたら なつ 食べて来ないかもしれないから…多めにつくったんだよ…。』
『はは なんか おまえが奥さんみたいだな』
そう言って、浩太が笑った。
『まあ 来週からは俺も仕事復帰するから、あんまりできなくなるけど、なつ 今 仕事しんどそうだから…。』
なつは、この所の残業続きで、家ではほとんど食べなくなっていた。
外で食べてきていると言っているけど、どんどん痩せていくなつに、心配で仕方なかった。
それに あまり 笑わなくなってしまったし…
やっぱり 俺が原因なのだろうか…。
そんな事を考え、思わずため息が漏れた。
『おまえ なっちゃんとは、うまくやっていけてんの?』
浩太にそう聞かれ、俺は浮かない顔で答えた。
『努力はしてるけど、なかなか思うようにはいかないな…。』
『おまえ まだ 芹香のこと気になってるのか?』
浩太に言われ、ふと芹香のことを思い出した。
そう言えば、芹香はどうしているのだろうか
ずっと なつのことで頭が一杯だったけれど
名刺に書かれていた字は、確かに芹香のものだった…。
もしかしたら ロシアで何かあって日本に帰って来ているのではないだろうか?
そう思って、芹香のことを聞いたけれど…
そんなことより、おまえはなつのことだけを考えろと浩太に怒られた。