婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

子供を作ろうと約束したことが、そんなになつを苦しめているのだろうか…。
そう考える度に浮かんでくるのは、なつが俺に言ったひとことだった。

『私達 夫婦でも恋人同士でも何でもないんだから!』

なつは謝ってくれたけど、なつは一度も俺を夫だなんて認めてはいなかった。

そんな 相手に抱かれるなんて、嫌に決まっているだろうけど…。

それでも…
あの日のなつの言葉を信じたい…。

俺は覚悟を決めて、最後の賭けに出た…。

ガチャとドアの開く音がして、なつがお風呂から上がってきた…。
ベッドへと入って来たなつは、いつものように俺から離れて背中を向けた。

『もう ケガも治ってるからこっちにおいで』

そう言って、なつを胸の中へと抱き寄せた。
なつのシャンプーの香りがふわっと漂った…。

『キスしていい?』

なつは俺の言葉に頷いて、そっと目を閉じた。

次第に深まるキスにも、始めのうちは応えてくれていたけれど、俺の手がなつの体に触れた途端、なつは体を強ばらせた。

目をぎゅと瞑って、まるで 拷問にでも耐えているかのように…。

そして なつの頬に涙が伝っていくのを見た瞬間、俺は もう なつの夫にはなれないのだと確信した。

『もう やめよっか…。』

俺はなつの涙を拭いながら、そう呟いた。
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