婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
次の日、俺はなつに尋ねた。
もし この先ずっと俺の記憶が戻らなくても
なつは俺と夫婦でいることができるかと…。
俺の質問に、なつは俯いたまま黙っていた…。
そんななつを見て、俺は決心した。
『もう 俺の記憶は戻らないと思う… だから 終わりにしよう 俺たち…』
なつは肩を震わしながら泣き出した。
『ごめんな なつ 記憶を取り戻せなくてごめん…』
俺はなつの背中をさすりながら、泣き続けるなつに何度も謝った。
そして 今日 俺は離婚届を書いた。
なつにも、明日 この家を出て行くと伝えた。
でも 俺となつの最後の夜に、なつは帰ってこなかった…。
会社の打ち上げがあるとは聞いていたけれど、
12時を過ぎても帰ってくる気配はなかった。
なつに電話をかけようかと、携帯を手にした時なつからメールが送られてきた。
『なつは俺がもらうから…』
たった一行 そう書かれていた。
添付された写真の画像を開くと、なつがベッドで寝かされている姿が映っていた…。
それを見た瞬間、メラメラと怒りがこみ上げてきた…。
誰だよ! こいつは
ふざけたマネしやがって!
俺は、なつを他の男に奪われる覚悟なんて、全然できていなかった…。
『てめー ふざけんな!』
俺は、なつの携帯に出た男に怒鳴りつけた。
『ふざけてないけど… どうせ あんたはなつと別れるんだし、なつは俺がもらうから…』
『うるせーよ おまえ いいから 住所言え!』
『へー うちくんの? 別に教えるのはいいけどどうせまにあわねーよ まあ 住所はメールで送っといてやるけど…』
そう言って、電話は切られた…。
きっと こいつは夏樹が言っていたなつの同期だろうと思った…。
『何するか分からない男』
俺は車に飛び乗ると、深夜の住宅街を猛スピードで走り抜けた。