婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
俺はマンションの前に車を乗り捨て、あいつの部屋へと走った。
『いいから 早く ここ開けろよ!』
ドアをガンガン叩きながら怒鳴っていた俺に
男は帰れと言ってインターホンを切った。
プチっとキレた俺が、窓ガラスを素手で叩き割ろうと手を振り上げた瞬間、玄関からなつが飛び出してきた…。
なつは俺を見て慌てて隠したけれど、なつの服は乱れていた。
胸元からは下着が見えていたし、ストッキングも破かれていた。
完全にキレた俺は、中にいたその男を殴りつけた。
それでも怒りが収まらず、その男の胸ぐらを掴んだ時、そいつが言った。
『俺はおまえみたいに他の女を想ったりしない
俺はなつだけを愛せるし、子供だって出来なくても構わない! 俺の方がよっぽどなつを幸せにできるよ!』
他の女…?
子供が出来ない…?
その言葉の意味を理解できず、俺はそいつから手を離した…。
『俺だってなつだけを愛してるよ』
俺がそう呟くと、なつは驚いたように目を大きく見開いた。
結局 なつと俺は互いに愛されていないと思い込み、すれ違っていただけだった…。
そして その絡まった糸を解いたのは、俺を挑発しておびき寄せたなつの同期の男だった。
彼はなつの為に、捨て身の覚悟でなつを俺の元へと返そうとした…。
『何をするか分からない男』
その正体は、ただなつの幸せを願い、なつを純粋に愛し続けるひとりの男だった…。
確かに、そんな男がそばにいたら気が気じゃないよな…
でも 俺だって…。
俺だってなつを想う気持ちは負けていない。
俺はきっと、なつの為なら、この命だって投げだせると思うから…。
俺は隣で眠るなつの頬にそっと手を伸ばした。
なつ 愛してる…
これから俺は、一生かけて証明するよ…。