婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
大切な人

「お帰りなさい 圭司!」

私は、帰ってきた圭司の胸に勢いよく飛び込んだ。

「ただいま なつ…。はは そんなに俺の帰りが待ち遠しかった?」

私をぎゅと抱きしめながら圭司が言った。

「うん。待ち遠しかったし心配だった 会社で大丈夫だったかな~って…。」

そう 今日は圭司の仕事復帰の日だったから。

「あー 心配かけてごめんな 今日はずっと取引先に挨拶まわりしてたから、連絡できなくてさ…。でも なんとか 大丈夫そう もう 要領つかめたから…。」

圭司は得意気な顔で笑った。

「うん 仕事は大丈夫だと思ってた…だって
圭司だから…。それより ほら なんか言われたでしょ…?」

「ん…?」

きょとんとした顔で圭司が首を傾げた。

「だから~ ほら 経理課の人とか…秘書課の人とかに…」

そこまで言うと、圭司は私の言いたい事を理解したようだった…。

「なつ 知ってたんだ~」

驚いた顔で圭司が言った。

「えっと その 圭司モテるし、記憶がないなんて聞いたら、皆 ほっとかないんじゃないかなって…なんとなく思ったから…」

いや なんとなくどころじゃなく、私は全て知っている…。

圭司を狙っている女性社員たちのの事細かい情報から、顔写真まで…。

なぜ そこまで知っているのかというと、私にはゆずちゃんという強力なスパイがいるからだ。

だから 彼女達が、今回どんな手で圭司に迫ろうとしているかという情報も、ちゃんと掴んでいたのだ…。

『瀬崎さんの不倫相手だったって嘘つくつもりらしいですよ あの人たち! 瀬崎さんが、仕事復帰したら、気をつけた方がいいですよ!』

ゆずちゃんの言葉を思い出し、今日は一日中 気になりっぱなしだった…。

「大丈夫だよ そんなこと心配しなくても…
俺には、なつしか見えてないんだから…。」

私の耳元に、圭司の甘い言葉が降ってきた…。
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