婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
そして 退院の日を迎えた。
「荷物 重いよね?」
圭司が心配そうに私を見た。
「大丈夫だよ 私ね こうみえて意外と力あるんだよ。全然 平気!」
圭司は左手を骨折し、右手で松葉杖をつきながら、やっと歩いている状態だ。
ボストンバッグ3つは流石にちょっときついけれど、ここは私が頑張るしかない…。
「いや 無理だよ… ひとつ 俺の肩にかけて…。」
「そんなことさせられないよ 腕と足 骨折してる人にバッグ持たせるなんて…ホントに大丈夫だから…。」
「でも 腕に食い込んで赤くなってるよ? いいから ひとつ 貸して!」
「ヤダよ!」
「なんで!?」
廊下で圭司と言い合っていると、クスクスと後ろから笑い声が聞こえてきた。
えっ?と振り返ると、そこには、拓哉さんが可笑しそうな顔をして立っていた。
「あはは 記憶喪失って言うから心配したけど
仲良くやってるじゃないですか~。」
「拓哉さん… 来てくれたの?」
「うん まあ 響さんは、どうせ俺のこと忘れてると思ったけど、なっちゃんに会いたかったからね。 はい じゃあ 俺が荷物 持ってあげるよ 貸して なっちゃん!」
そう言って、拓哉さんは私の持っていたボストンバッグを自分の肩にかけてくれた。
「ねえ この 馴れ馴れしい人 誰?」
圭司が一言そう言った。
「いやだな~ 響さん ホントに分からないんですね… 拓哉ですよ 響さんの後輩の。さっ 車で迎えに来たんで行きましょう!」