婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)

私は圭司の本心が聞きたくて、必死に圭司の腕にしがみついた。

圭司はそんな私の手を引いて、力強く抱きしめた。

「なつ 俺は もう なつしか見えてないって言ったろ? まだ俺のこと信じられない?」 

私は圭司の胸の中で首を振った。

「ちゃんと信じてるよ でもね 圭司が芹香さんにしたキスや、芹香さんを抱きしめた温もりが、どうしても蘇ってきて…」

「ん? それ どういう意味?」

圭司は私の肩を両手で掴みながら言った。

「あっ うん 私 芹香さんと間違えられて圭司にキスされたことがあるの…圭司は寝ぼけてたみたいだから、覚えてないんだろうけど…」

「は? マジで… それ いつ?」

「退院した日 圭司 このベッドで夕方まで眠ってたでしょ? その時なんだけど…芹香愛してるって、キスの後はっきり言ってたから」

「はあー そっか… ごめんな そんなことなつにしてたのか… マジでごめん… でも 今はホントに芹香のことは…」

「うん 分かってる あの頃は無理して芹香さんのこと忘れようとしてたんだから…仕方ないと思ってるよ…  でも 今だに 怖くなるの
私を抱きしめながら眠ってる圭司を見ると、ホントに私だと思ってるのかなって… だってね圭司が私を芹香さんと思って抱きしめてた日の温もりと同じなんだもん すごく 愛おしそうに抱きしめるから だから 圭司の心の奥底に、やっぱり 芹香さんがいるんじゃないかって…」

「いない ホントにいないから…。 あっ俺が芹香と間違えてなつを抱きしめてたっていうのは退院した日の夜?」

「えっ あっ そうかもしれない…。」

「それなら 俺はちゃんと、なつを抱きしめてたつもりだけど…」

「うそ そんな訳… だって 芹香さんにあんなに情熱的なキスした日の夜だよ…?」

そればかりは、いくらなんでも信じられない。
でも 圭司は真剣な表情で私を見つめた。




  





< 81 / 140 >

この作品をシェア

pagetop