婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
再会
「なつ いいじゃん 飯食いに行くぐらいさ 今日がダメなら、明日でもいいし 俺がおごってやるから行こうぜ!」
「だ~か~ら 圭司がヤキモチやくからダメだって何度も言ってるでしょ! それに 今日は圭司が迎えに来てるから、あんまり ベタベタしてこないで!」
エレベーターの中で、しつこく誘ってくる松井くんにきっぱりと言い放った。
松井くんは、最近 こうして、やたらと私を誘ってくる。
恐らく、私を松井くんから引き離した圭司への嫌がらせのつもりなのだろうけど…今日のように帰りがけバッタリ会ってしまうと、すごく
面倒なことになるのだ…。
「いいじゃん ヤキモチやかせとけば 同期が仲良くして何が悪い!」
まったく分かってくれない松井くんに、ため息をついていると、バックの中で携帯が鳴った。
「旦那か? せっかちな男だな…。」
「違う この音 圭司の携帯の方だから…」
はっ?と首を傾げる松井くんを無視して、私はバックから慌てて携帯を取り出した。
「あっ 芹香さんからメールだ…」
思わずそう呟くと、松井くんは強引に私から携帯を奪い取った。
「ちょっと 何するの?」
「なあ これって あの女だろ? これヤバいんじゃねーの おまえ…。」
「もう 勝手に見ないでよ!」
私は松井くんから携帯を奪い返して、芹香さんからのメールを読んだ。
『圭ちゃん どうしても会って欲しいの…。
お願い 連絡下さい…。』
うわっ
どうしょう…
芹香さん 全然 圭司のこと諦めてくれてない…。
「あの女 日本にいたんだな でさ 旦那の携帯なんだろ?それ 何でなつが持ってんの?」
「あー これは圭司の古い携帯なの…。この間も、芹香さんから会いたいってメール入ってきて… 圭司は、連絡取るつもりないから、携帯処分していいって言ってたんだけど…」
芹香さんからのメールに、一気に心細くなってしまった。
「バカだな そんなのほっといたら、いつまでもズルズル長引くだけだろ? そのうち旦那のとこ会いに来ちゃうかもしれねーぞ ちゃんと旦那に断ってもらえよ!」
「そうなんだけど…」
私はため息をつきながら、従業員用のドアを開けた。