婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「なつ」
はっとして声の方に振り向くと、圭司が腕を組みながら駐車場の壁に寄りかかっていた。
「あっ 圭司! ここで待っててくれたの?」
私はすぐに、圭司の元へとかけよった。
「出た ストーカー」
松井くんのひとことに、圭司がムッとした顔で睨んだ。
「ストーカーはおまえの方だろ? しつこくなつに、まとわりつきやがって…。すっげえ 目障りだからやめてくれる?」
「別になつを取ったりしませんから、ご心配なく! そんな事よりも 自分の元カノの方 なんとかしたら?」
松井くんはそう言って、私と圭司の方にゆっくり近づいてきた。
「元カノ? 何の話だよ…」
「あっ あのね 今 ちょうど芹香さんからメールが入って…ほら これ どうしよう 圭司…」
圭司は私から携帯を受け取ると、目を細めてメールを読んだ。
「ふーん いいよ ほっとけば…そのうち 諦めるだろ…」
素っ気ない口調の圭司に、松井くんが口を挟んだ。
「なんだよ ちゃんと なつが安心するように断ってやればいいのに…あ もしかして あの女に、まだ未練とかあるんだろ? 断るの惜しくなったんじゃねーの? なつなんて鈍感だから、こっそり連絡とって浮気しても、どうせバレな…い…」
「おまえ いい加減にしとけよ?」
圭司は松井くんの胸ぐらを掴んだ。
「おまえのこの生意気な口…今度こそ、きけなくしてやろうか?」
マズい…
圭司はけっこう本気でキレている。
今にも松井くんを殴ってしまいそうな圭司の腕を、私は慌てて掴んだ。
「圭司 やめてよ! 松井くんも、どうして いつも挑発するようなこと言うの!」
必死で、圭司を松井くんから引き離していると
再び 携帯の着信音が鳴り出した。