婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「あっ… 芹香さんから電話かかってきちゃった… ねえ 圭司 お願い 今 断って…」
携帯を握りしめながら、私は訴えかけるように圭司を見た。
「分かったよ かして…。」
圭司は、私の手の中にある携帯をぱっと取ると電話に出た。
「もしもし 芹香?」
私と松井くんは、黙って圭司の声に耳を澄ました。
「ごめん 芹香 悪いけど俺… えっ? いや ちょっと 待て …おい 芹香 あっ!」
しばしの沈黙の後、そのまま 圭司は気まずそうに携帯をポケットへとしまった。
「ねえ 芹香さん 何て?」
「あ いや 今から、プラザホテルのロビーに来てくれって…一方的に切られた…」
「はあ~? なんだよ 女の一人もまともに断れねーのかよ… 情けなねーな!」
「ちょっと 松井くん!」
「仕方ねーだろ あいつは昔から、こうと思ったら、ひとの話なんか聞かねーんだから…」
圭司は弱った顔で、ため息をついた。
「じゃあ 私も行く…!」
「えっ!」
「会って、私がちゃんと言うから! 今からプラザホテル行こ!」
「なつ…」
私は圭司の腕を取って、車へと歩き出した。
どうしても芹香さんには、圭司のことを諦めてもらわなきゃ困るから…
もう 私もお人好しなんかじゃないから…
私の胸に、芹香さんへの闘志が沸々と湧いてきた。