婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「なつ ホントに芹香に会うの?」
車の中で圭司が口を開いた。
「う うん 会うよ だって 芹香さん 今なら圭司が戻ってくるかもって期待してるみたいだし… これ以上 黙って見過ごす訳にはいかないでしょ…」
私は自分にいい聞かせるように言った。
本当は私だってドキドキしてるのだ…。
私の圭司を取らないでと、面と向かって芹香さんに言に行く訳だし…
ましてや、芹香さんには二度も騙された苦い経験もある訳で…
できれば、私だって行きたくないけれど…
『そんなにお人好しだと、また 私みたいなのに圭ちゃん取られちゃうわよ…」
芹香さんが、ロシアへと旅立つ前に言い残していった言葉を思い出すと、やっぱり、うかうかとなんてしていなれない…。
「いいよ なつは何も言わなくて… 芹香は意外と気強いし、おまけに弁もたつから、きっとなつじゃ適わないよ… まあ 芹香がホントに俺とより戻そうと考えてればの話だけど…ちゃんと俺から話すから… 」
なっ?と言って、圭司が私の頭に手を置いた。
頼りたい気持ちは山々だけど、せっかく覚悟を決めて頑張ろうと思っているのだから、そんなことは言わないで欲しい。
「私だって言うときは言うよ 圭司こそ 黙って聞いててくれればいいから…。」
圭司の言葉にムキになった私は、自分でハードルを上げてしまった…。
どうか 芹香さんが大人しく納得してくれますように…
祈るような気持ちでホテルへと向かった。