婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
車の中でも、圭司の質問は続いていた…。
「君さ 何で俺のこと響って呼ぶの? 仕事の後輩…?何の仕事…?」
圭司は後部座席から、拓哉さんをのぞき込みながら、そう尋ねた。
「あー 響さんって言うのは、ホスト時代の名前です。昔 アクアっていうホストクラブで一緒に働いてたんですよ。当時、響さんはNo.1ホストですごい人気だったんですよ…。まあ 俺も今はNo.1ですけどね…。」
圭司は拓哉さんの話に、信じられないとという顔で目を丸くしていた。
「ホストって…。俺が…?」
「あっ あのね 圭司がホストをしてたのは、
深い訳があってね…。」
私は、圭司にあの時のことを全て話した。
暴力団の幹部だった私の婚約者に、私と圭司が引き裂かれたこと…。
私を守るために圭司が私から離れ、ホストをして借金を返していたこと…。
そして 私を庇って、拳銃で撃たれたこと…。
私の話に圭司は真剣に耳を傾けていた。
「映画みたいな話だけど本当のことだから。」
私がそう言うと、圭司は目を閉じてしばらく考え込んでいた。
思い出そうとしてるのかとその様子を見ていると、突然 圭司は頭を押さえだした。
「うっ イッテー…」
そう言って、圭司は辛そうにうめき声をあげた。
「圭司! 大丈夫? ごめんね もう 思い出さなくていいから! ごめんね!」
私は、必死で圭司の背中をさすりながら、そう繰り返していた…。