婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
美優と別れてからも、頭の中は圭司のことでいっぱいだった。
よし 今日、帰ったら、ちゃんと圭司と話そう
帰りの電車の中で、私はそう決心した。
駅の改札を出ると、タクシーを待つ人の列が目に入った。
そう言えば、圭司はタクシーで帰ってこいって言ってたっけ…。
確かに少し暗い道も通るけれど、まだ 9時半だし、人の流れもあるし…。
やっぱり、歩いて帰ろう…。
そう思い、タクシー乗り場に背を向けた瞬間
誰かに腕を掴まれた。
「なつ…」
私の名を呼んだのは、圭司だった。
「なんだ~ 一緒の電車だったんだね!」
「いや なつが歩いて帰るって言うから、飲み会早めに抜け出して、なつのこと待ってたんだよ… line送ったけど、見てないだろ?」
「えっ そうなの? ごめんなさい でも 良かったのに… わざわざ 飲み会まで抜けて来なくても…。」
「でも 夜になつをひとりで歩かせる訳にいかないだろ… ほら 行くぞ…。」
圭司は私の手を握って、マンションへと歩き出した。
月の光に照らされて、今日はずいぶん夜道が明るかった。
「ねえ 圭司…。」
「ん?」
「この時間なら、けっこう人通りもあるし、大丈夫なんだよ…。ほら 女の人もひとりで歩いてるし…」
「それでも やっぱり心配だから…。」
「どうして圭司は、そこまで私が心配なの?」
圭司はピタッと足を止め、私の顔を見た。